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高麗人参の主な原産国

高麗人参は古くから貴重な薬草として珍重されてきました。
高麗人参の「高麗」とは、10世紀から14世紀にかけて朝鮮半島に存在した国家の名前です。朝鮮半島を意味する英語の「Korea」やフランス語の「Coree」などの語源になった言葉でもあります。
高麗人参はその名前の通り、朝鮮半島付近の地域で盛んに栽培されています。高麗人参の主な原産国について解説します。

高麗人参の自生地

高麗人参はウコギ科の多年草で、もともとは朝鮮半島や中国東北部、ロシア沿海州にかけての深い山中や森に自生していた植物です。北緯39度から47度付近の寒冷で降雨量の少ない地域にのみ生えており、古くから効果の高い希少な薬草として珍重されてきました。

朝鮮半島を治めた歴代の国家は、高麗人参を独占して持ち出しを厳しく規制し、外交貢物や貴重な貿易品として利用しました。
野生の高麗人参が乱獲によって減少すると、畑での栽培が長い期間にわたって研究されました。しかし、高麗人参は発芽・生育条件が厳しく研究は難航し、実際に栽培が可能になったのは18世紀に入ってからです。

現在では、野生の高麗人参はほとんど手に入らず、流通している高麗人参のほぼ全ては栽培されたものです。野生の高麗人参は希少で薬効も高いとされ、1本数百万円で取引されたものもあります。

高麗人参の原産国

高麗人参の原産国としては韓国と中国が知られており、この2国で全体の70%以上の生産量があります。この2国のほか、北朝鮮も高麗人参の原産国として有名です。日本でも江戸時代に栽培が盛んに行われ、現在も一部の地域で質の高い高麗人参が生産されています。

韓国

韓国は古くからの高麗人参の産地

朝鮮半島は高麗人参の自生地で、古くから採取や利用が盛んに行われてきました。
朝鮮半島を治めていた歴代の国家は、高麗人参の取引を管理し、王侯貴族向けの薬草として独占しました。また、高麗人参は貿易や外交にも利用され、国家の貴重な財源でもありました。

高麗人参の栽培は古来より試みられてきましたが、高麗人参の育成条件は厳しく、実際に栽培に成功したのは李氏朝鮮時代の18世紀初頭です。

李氏朝鮮は高麗人参の栽培法について流出を厳しく規制したため、高麗人参の栽培は一般には広まりませんでした。韓国で一般的に高麗人参が栽培されるようになったのは、日本統治時代に日本の栽培技術が持ち込まれた後のことです。

韓国の主要な産地

韓国における高麗人参の主な産地としては、慶尚北道栄州市豊基、京畿道坡州市、忠清南道錦山郡などが挙げられます。これらの地域には山が多く、寒暖差が激しいため、高麗人参の栽培に適しています。また、これらの地域では高麗人参を専門に取り扱う市場が設けられているほか、収穫が行われる秋には、毎年高麗人参の収穫を祝うお祭りが開催されています。

中国

中国では、古代より高麗人参が貴重な薬草として珍重されてきました。紀元前3世紀に初めて中国統一を成し遂げた秦の始皇帝が高麗人参を飲用したとも伝えられています。また、約2000年前に記された中国最古の薬物書である『神農本草経』にも、高麗人参が効果の高い最高ランクの薬草として記載されています。

中国の高麗人参の産地として有名なのが、白頭山付近の地域です。白頭山は長白山という別名でも呼ばれ、北朝鮮との国境付近にある標高2,744mの火山です。付近の土壌には火山灰が多く含まれているため水はけが良く、寒冷な気候条件もあいまって高麗人参の育成に適しています。
白頭山の高麗人参は「長白山人参」と呼ばれます。育成の際に農薬や化学肥料が使われておらず、野生に近い高品質な高麗人参として評価されています。

2011年から2013年には、中国は合計9トンもの高麗人参の種子を白頭山の森林に空中散布しました。これは乱獲などによって減少した自然の高麗人参を増やすためのプロジェクトです。中国では、こうした高麗人参の生産量を増やそうとする数十年先を見据えた試みが行われています。

北朝鮮

韓国や中国と同じく、北朝鮮でも高麗人参の栽培が盛んです。
韓国との国境付近に位置する開城市は、北朝鮮における代表的な高麗人参の産地です。開城市は10世紀に建国された高麗の王都で、古くから高麗人参の交易が行われていた土地でもあります。
開城産の高麗人参は品質が高いとされ、現在でも北朝鮮の主要な貿易品のひとつです。

日本

日本で高麗人参の栽培が行われるようになったのは、江戸時代の1729年以降です。江戸幕府の第8代将軍徳川吉宗の時代に、日光御薬園ではじめて高麗人参の国内栽培が成功しました。幕府は各地域に種子を配布して高麗人参の栽培を推奨したため、現在も使われている「オタネニンジン(御種人参)」という別名がこの時に生まれています。

長野県東信地方

日本産の高麗人参の約70%が、長野県の東信地方で生産されています。豊かな水源と水はけの良い土地に恵まれ、寒暖差の激しい盆地の地形であることから、高麗人参の生産に非常に適した地域です。

この地域にはかつて江戸幕府の天領があり、高麗人参の栽培が行われていました。昭和8年には信州人参農業協同組合が発足し、これ以降、国内でも有数の高麗人参の産地として盛んに生産が行われてきました。

福島県会津地方

福島県会津地方は夏と冬の寒暖差が激しく、高麗人参が自生する地域の気候と似ているため、古くから高麗人参の栽培が試みられてきた土地です。日光で栽培が成功して以降、会津地方では高麗人参の栽培が盛んに行われるようになり、現在も日本で有数の高麗人参の産地です。

会津若松市には、約400種類に及ぶ薬草や薬木が栽培されている御薬園があり、高麗人参の歴史が今に伝えられています。江戸時代に会津藩の藩主が薬草園に高麗人参を試植し、その栽培を推奨したことが御薬園の名前の由来です。

島根県松江市大根島・由志園

島根県松江市にある大根島も高麗人参の産地として有名です。大根島は、島根県の東部に位置する火山島で、19世紀初頭に当時の松江藩によって高麗人参の栽培が開始されました。

ミネラルを豊富に含んだ火山灰の土壌は高麗人参の栽培に適しており、質の高い大根島の高麗人参は「雲州人参」と呼ばれ、当時の清国など海外にも輸出されました。生産量は減少傾向にあるものの、現在も国内有数の高麗人参の生産地です。

国産高麗人参の魅力は安全性

国産の高麗人参の魅力は、その安全性にあります。
高麗人参に限らず、輸入される農産物の安全性に不安を感じる人は多く、国産品は生産や処理の過程で薬品や不純物が混入する危険性が低いと考えられています。また、万が一問題が発生しても、国産であれば生産地の農協や製品の販売者に直接問い合わせができます。

現在日本で流通している高麗人参の多くは輸入品ですが、日本国内でも栽培が行われています。流通量は少ないですが、国産の高麗人参を選ぶのもひとつの手です。

まとめ

高麗人参の主な原産国は、韓国、中国、北朝鮮、日本です。このうち、韓国と中国が全体の生産量の70%以上を占めます。高麗人参は、古くは朝鮮半島や中国東北部の山林を中心に自生し、貴重な薬草として採取されていました。しかし、現在は乱獲などによって数が減少し、流通している高麗人参のほぼすべてが栽培されたものです。
日本でも1729年以降に高麗人参の栽培が可能になり、現在も長野県、福島県、島根県などで栽培されています。高麗人参といえば韓国や中国が有名ですが、国産の高麗人参も選択肢のひとつです。

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